【2026年4月26日】一隅会スピンオフセミナー 番外編

先日、一隅会スピンオフ麻酔勉強会が開催されました。
本勉強会には歯科医師・歯科衛生士あわせて約50名が参加し、日本歯科麻酔学会認定医である雨宮啓先生より、近年注目されている歯科衛生士による麻酔施術について講義を受けました。
本講義では、「歯科衛生士による局所麻酔の是非」と「実施にあたって何を考慮すべきか」の2点を主軸に、偶発症への対応も含めて体系的に解説をして頂きました。会場にはすでに臨床で麻酔を行っている衛生士もおり、多くの参加者が高い関心をもって聴講していました。特に、各学会や歯科医師会における見解の違いについて整理された点は非常に有意義でした。
中でも印象的であったのは、2017年福岡で発生した2歳女児死亡事例です。急性リドカイン中毒による低酸素症が原因とされ、有罪判決に至った本件では、予見可能性の評価不足やモニタリング体制、酸素投与、アドレナリン投与、救急要請の遅れといった対応不備が指摘されました。また、迷走神経反射とアナフィラキシーや局所麻酔中毒の鑑別、チーム医療の重要性、早期の119番通報の判断など、臨床現場で求められる対応力の重要性が強調されておりました。もし衛生士が麻酔を施術した患者が同じような結果となった場合を想像し、改めて現在衛生士の麻酔施術に対して、世間の認識、各学会、歯科医師会での見解などを鑑みて慎重に検討すべき事であると再認識致しました。
一方教育面では、歯科衛生士に対する局所麻酔の研修体制が整備されつつあり、厚労省管轄の正式な研修プログラム(Eラーニング、座学、実技、筆記試験)への参加が推奨されるとの事でした。一方で、今後は衛生士専門学校の卒前教育にも麻酔の施術が段階的に導入され、2031年頃には局所麻酔を標準的に学んだ世代が臨床に出てくると見込まれている。
よってここからの4年で徐々に変化していく可能性を示唆しておりました。
さらに、循環器疾患患者に対する歯科治療時の血圧管理の重要性や、近年の麻酔薬不足の状況、新規麻酔薬の特徴と使い分けについても具体的に解説され、実践的な知識を得ることができました。
本講義を通じて、歯科衛生士による麻酔施術は今後さらに議論が進む領域であり、安全管理体制の構築と継続的な教育の重要性を改めて認識致しました。


平和台ファミリー歯科矯正歯科 池田春樹