【2024年11月10日】 一般社団法人一隅会年次総会 開催レポート

東軍 ファシリテーター 大島拓也先生

先日、一隅会という勉強会にファシリテーターとして参加する機会をいただきました。この勉強会は、歯科医院における臨床データを共有し、医療の質を評価・分析しながら、問題点を洗い出し、それを基に改善を図ることで医院全体の成長を目指すというコンセプトで行われています。全国から参加された医院が、それぞれの取り組みやデータを発表し合い、共に学び、成長を共有する貴重な場です。

私は今回、タイムスケジュールの午前中に行われた「会員発表 東西対決」において、東軍の発表をファシリテートさせていただきました。各医院が独自の視点で臨床データを分析し、成果を共有する発表はどれも素晴らしく、各々が目指す方向性や取り組みの深さに大いに感銘を受けました。特に、異なる医院がそれぞれの環境や状況に応じた独自のアウトカムデータを捉えている点は非常に興味深く、その視点から得られる新しい発見が私にとって非常に参考になりました。

発表の中には、データ分析に基づく課題の抽出や具体的な改善策が示される場面も多くありました。それぞれの医院が抱える課題は異なりますが、全体として「患者さんの満足度向上」「治療の精度向上」「チーム医療の強化」など、共通の目標に向かって努力している姿勢が見受けられました。これらの発表を通して、私自身の歯科医院における取り組みを改めて見直し、どのように改善を進めるべきか深く考えるきっかけとなりました。

また、ファシリテーターとして発表者の意図を汲み取りつつ、議論を円滑に進める役割を担うことで、発表内容をさらに深く理解することができました。質問やコメントを通じて議論を活性化させる中で、自分自身の考え方や視野を広げる良い機会にもなりました。質疑応答では本当に多くの質問が飛び出し、参加者全員の意欲や熱意に触れながら、学び合いの場がいかに重要かを改めて実感しました。

さらに特に印象的だったのは、データをただ提示するだけでなく、それをもとにした改善案や実際に得られた成果が具体的に示された点です。こうした成果を共有することで、他医院にも新たなヒントやインスピレーションを与えることができるのだと強く感じました。私の医院においても、今回得られた知見を活用してデータの収集と分析をより深め、今後の改善に生かしていきたいと考えています。

全体を通じて、一隅会という勉強会は、単に知識を得るだけでなく、参加者同士が切磋琢磨しながら成長を促し合う場であると感じました。ファシリテーターという立場で参加させていただいた今回の経験を糧に、今後も自分自身の成長に努めるとともに、医院全体の成長、患者さんの人生、歯科業界にも貢献していきたいと思います。

西軍 ファシリテーター 佐藤紘治先生

今回の一隅会総会は、西日本と東日本に分かれ、午前・午後で発表が行われるユニークな形式で、多くの示唆に富んだ内容でした。一言で言えば、テーマは『データベースで改善し続ける予防歯科』でした。特に印象的だったのは、各クリニックが自分たちのデータを活用し、自院の運営を見直しながら改善を続けている様子が垣間見えたことです。
最初は、経験豊富な先生方の背中を追いかけ、「こうすれば良いのか」と学びながら進む必要がありますが、続けていくうちに自ら考え、改善できる組織を作れると実感しました。開業約30年目の川原先生、柴田先生、早乙女先生の知識と経験は、まるでエベレストのように高く、私には到底登りきれない山のように感じます。しかし、今回の発表に参加した開業10~14年目の先生方の話を聞くことで、1,000~8,000m級の山々を眺めているような感覚になり、自院の成長段階に応じたアイデアを取り入れることができました。
さらに、このプロセスを進める中で、う蝕学、歯周病学、咬合といった分野に焦点を当てた論文抄読会に参加し、エビデンスベースの知識を積み上げていけば、クリニック全体がより良い方向へ進むと確信しています。日々の診療で新しい知識を生かすことは大きな強みとなり、患者さんにより質の高いケアを提供できるはずです。
これからは、自院でもこうした取り組みを積極的に取り入れ、チーム全体が成長できる環境を作っていきたいと思います。今回の勉強会で得たアイデアを明日からの診療に活かし、前進していこうという意欲が湧きました。