【2026年6月】ORCA2026 一隅会海外研修

川原先生からのメッセージです。

ORCA2026総括

今回のORCA2026に参加して、私が最も強く感じたことは、「う蝕研究は新しい時代に入った」ということでした。

世界中の研究者によって、う蝕の病因、リスク因子、フッ化物の効果、リスク評価、長期的な疾患の軌跡(Trajectory)など、多くのエビデンスはすでに十分に蓄積されています。今回の学会でも、「何がう蝕を防ぐのか」という新しい知見よりも、「そのエビデンスをいかに社会へ実装するか」という議論が中心でした。

つまり、これからの課題は「何を伝えるか」ではなく、「どのように伝え、患者の行動変容につなげるか」という点に移っていることを強く感じました。

患者一人ひとりの価値観や生活背景を理解し、信頼関係を築きながら、健康への動機づけを行うこと。そのためには、歯科医師だけでなく、歯科衛生士を中心としたチーム全体が同じ理念を共有し、患者と長期的な関係を築いていくことが求められています。

これは、一隅会がこれまで一貫してメンバーの先生方へ伝えてきたことそのものです。

私たちは、単にMTMという診療システムを学ぶのではなく、「患者との信頼関係を築くこと」「患者を健康へ導くコミュニケーション力を磨くこと」「診療所全体の総合力を高めること」こそが、良質な予防歯科医療を実現する鍵であると考え、実践してきました。

今回のORCAでは、その方向性が世界の研究者たちからも繰り返し語られていました。

川原歯科医院、早乙女歯科医院、柴田歯科医院が長年積み重ねてきた診療スタイルは、単なる日本独自の取り組みではなく、世界がこれから目指そうとしている歯科医療の姿に非常に近いものであることを改めて実感しました。

もちろん、世界ではさらに一歩進み、診療所単位の取り組みを地域や行政、学校、保険制度へと広げ、社会全体で口腔の健康を守る仕組みづくりへ議論が進んでいます。この点は、一隅会として今後挑戦していくべき新たな課題でもあります。

今回のORCA2026は、一隅会が歩んできた道が決して間違っていなかったこと、そして私たちがさらに自信を持ってその道を進んでよいことを確認できた学会でした。

一隅会の先生方には、ぜひこれまで実践してきた予防歯科に自信を持ち続けていただきたいと思います。そして、アウトカムデータを積み重ねながら、日本から世界へ向けて「患者を健康へ導く歯科医療」の価値を発信していきましょう。

また、診療所スタッフの皆さんには、日々行っている患者さんとの何気ない会話や励まし、寄り添う姿勢こそが、世界が今求めている歯科医療そのものであることを伝えたいと思います。

歯を治す技術だけではなく、人を健康へ導く力。その力は、一人ひとりのスタッフが患者さんとの信頼関係を築き、医院全体が一つのチームとして機能してこそ発揮されます。

世界は今、予防歯科の「方法」を議論する時代から、「その方法をいかに患者の行動変容につなげるか」を議論する時代へと移っています。そのために必要なのは、エビデンスだけではなく、患者との信頼関係、チーム医療、そして診療所全体の総合力です。これは一隅会が創設以来目指してきた歯科医療そのものであり、私たちはその価値をさらに磨き、日本から世界へ発信していく責任があると感じました。

今回のORCA2026を通して、そのことを改めて確信することができました。これからも一隅会が、メンバー診療所とともにその実践を積み重ね、日本の予防歯科を牽引し、世界へ発信できるスタディグループとなることを目指して歩み続けたいと思います。

ORCA2026参加レポート

世界の予防歯科から学んだこと

2026年6月、クロアチア・ザグレブで開催された「ORCA2026」に参加し、世界各国の研究者によるう蝕研究や予防歯科に関する講演を聴講しました。

今回の学会を通して特に印象に残ったのは、世界の予防歯科が「新しい知識や技術を追求する段階」から、「これまでに蓄積されたエビデンスを、いかに患者さんの行動変容につなげるか」という実践の段階へと進んでいることでした。

う蝕の原因やリスク評価、フッ化物応用などについては、多くの研究によって十分な科学的根拠が示されており、講演では「何が正しいのか」を議論するだけではなく、その知識をどのように患者さんへ伝え、継続的な健康行動へ結びつけるかという内容が数多く取り上げられていました。

そのためには、患者さん一人ひとりの生活背景や価値観を理解し、信頼関係を築きながら寄り添っていくこと、そして歯科医師だけでなく歯科衛生士をはじめとするスタッフ全員が共通の理念を持ち、チームとして患者さんを支えていくことが重要であると改めて感じました。

この様な考え方は、一隅会がこれまで大切にしてきた予防歯科の理念とも重なるものであり、日頃の取り組みが世界の目指す方向性と一致していることを実感することができました。

また、世界の最新の研究や発表に触れることで、予防歯科は知識や技術だけではなく、患者さんとの信頼関係やコミュニケーションを通じて健康を支えることが、これまで以上に重要視されていることを学ぶことができました。

今回のORCA2026への参加を通して、一隅会がこれまで大切にしてきた予防歯科の考え方が、世界の目指す方向性と重なっていることを改めて実感することができました。

今回得た学びを今後の活動へ活かしながら、一隅会として、これからも患者さんの健康を支える予防歯科の実践に取り組んでまいります。